現代人は遠くよりも近くを見る時間が圧倒的に多い [白内障の予防に黒豆の皮]
近くを見ることが多い現代人は遠くを見る視力を使わなくなってしまった
一般的に視力といえば、視力検査表を見て測定した0.8や1.5などの数値をさします。
大半はこの数値が高ければ視力がよいので遠くがはっきり見えるほうが「目がよい」逆が目が悪いという解釈です。
そうした遠くが見える力だけをよい視力とは、いいと言えなくなってきているのです。人はそれぞれ、その人の生活環境に適した視力があるはずです。
例えば、サバンナで狩猟生活を営む人であれば、遠くまで見渡せる3.0といった、いわゆる強い視力が必要でしょう。狭い都会で暮す私たちには、それほど強い視力は必要ありません。
むしろ、強すぎる視力は、私たちの目をひどく疲れさせることが多くなります。目は物を見るとき、凸型レンズの形をした水晶体の厚さを変えてピントを調節しています。
水晶体は、まわりを囲んでいる毛様体筋という筋組織によって厚さを変えています。近くを見るときは毛様体筋が緊張して水晶体を厚く膨らませ、遠くを見るときは毛様体筋が弛潰して水晶体を薄くするのです。
毛様体筋は、長く緊張しつづければ疲れます。これがいあゆる目の疲労です。目の疲労が長く続くと、毛様体筋は弛壊しにくくなり、水晶体は厚いままの状態になります。これが調節性の近視といわれるものです。
また硬くなっていく水晶体とともに、毛様体筋は加齢によって調節力が衰えます。近くを見るとき、近視の人はすでに近くにピントが合っているので、あらためて毛様体筋に力を加える必要がありません。
一方、視力の強い人、遠視の人は、毛様体筋を懸命に緊張させなければピントが合いません。そのため、遠視が強い人ほど、近くを見るときに目が疲れやすいのです。
近視が現代人のライフスタイルに合っている
20年ほど前、銀行の診療所に勤めていたときのことです。手元での作業が多い銀行員は、勤めはじめのころよりも視力が低下します。視力が低下すると彼らは一様に、「目が悪くなった」と嘆きます。しかし、興味深いのは「目が疲れにくくなった」ともいうのです。そうした経験から、近視というのは、置かれた環境に目が合うように順応した結果ではないかと思うようになります。都会で暮ら現代人は、毎日パソコンをはじめ近くの物を長時間見つづける生活を送っています。
近くの物にピントを合わせることが、現代人の視力に最も求められているのです。そんな生活環境に適応した目、それが近視ではないのでしょうか。
そして、身近な距離の中で自分が必要とする物を識別でき、疲れを感じずに心地よく見ることができる目が、ほんとうの意味での「よい目」ではないかと、私はとらえています。眼鏡やコンタクトレンズを利用している人は、試しにレンズの度数を落としてみてください。目の疲労感が減少するはずです。そこで、仕事のときは度数の低いものを、ドライブなど広い景色を楽しむときは高い度数のものをというように使い分ければ、目が疲れることが少なくなるはずです。
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